痔にも多くの種類があるのですが、日本人に多いのは内痔核といういぼ痔の一種です。 原因は生活習慣、食べ物、アルコール、便通異常、冷え症など様々な要因が組み合わさっておこります。 アメリカの医学博士が1万人ほどに肛門の検査をしたところ7割に痔核を認めたそうです。 ただし、日本人は「肛門科に通院するのが恥ずかしい。」と思う性質があり、当院でも症状が出てから初めて受診するまでの期間をアンケートしたところ、なんと平均で約7年もかかっていました。
肛門に強い負担がかかることによって、肛門を閉じるクッションの役割をしている部分が腫(は)れたり、その部分を支える組織が弱くなり肛門の外に出てきます。発生する部位により内痔核と外痔核があります。 硬い便の排泄や下痢によって肛門の皮膚が切れ、痛みや出血を起こします。 肛門の近くが細菌の感染により化膿し(肛門周囲膿瘍〈こうもんしゅういのうよう〉)、そこから膿(うみ)が出た後に管が残った状態になります原因:いきみの繰り返し、体の冷え、便秘、硬い便、激しい下痢、重い物を持ったときなどに肛門に負担がかかり、クッション部分を土台に固定している部分が伸びたり千切れたりして、結果としてクッション部分が大きくなるために起こります。痔核が大きくなると肛門から脱出するようになります。
症状:排便したときに血が出る、便が残っている感じがする、肛門から痔核が外へ出るなど。
分類:内痔核は、脱出の程度によりI~IV度(ゴリガー分類)に分類されます。また、急性期の激しい痛みを伴う痔核としては、「血栓性外核痔」と「嵌頓(かんとん)痔核」があります。
あと、高齢の女性では腸そのものが落ちてくる直腸脱という病気があります。初期の直腸脱は内痔核と鑑別困難なことも少なくありませんが、治療法は全く異なるため、痔の治療で直腸脱が治ることはありません。
痔核(いぼ痔)
内痔核
[状態]
痔核は、直腸の下や肛門にある静脈を含めて肛門を閉じる役割をするクッション部分がうっ血してふくらんだもの。この痔核が歯状線より内側にできたものを内痔核といいます。
[原因]
痔核は、痔の中で一番多く見られます。便秘やトイレ時間が長くて排便時のいきみが強い、長時間同じ姿勢をとる、妊娠や出産がきっかけで起こりやすくなります。
[症状]
痛みはほとんどなく、排便時に出血したり、肛門から脱出して気がつくケースが多いよう。肛門から脱出したときには、肛門から飛び出してくる感じや異物感があります。
[進行すると・・・]
脱出しても排便が終われば戻る状態から、進行すると、常に痔核が脱出して指で押さなければ戻らなくなります。最終的には指で押しても戻らなくなります。
外痔核
[状態]
肛門の歯状線より外側にできたものをいいます。肛門の外側に血まめができた状態で、血栓性外痔核といいます。
[原因]
便秘や下痢、アルコールや辛いものの摂り過ぎ、長時間歩き回ることや座りっぱなしのことが多い、冷え、ストレスなど。
[症状]
腫れて激しく痛むことが多いのですが、出血は少ないです。
裂肛(切れ痔)
[状態]
肛門の皮膚が切れたり裂けた状態。
[原因]
便秘などによって、硬い便を無理に出そうとしてその刺激で切れることが多いのですが、慢性的な下痢による炎症として起こることも。便秘がちな女性に多く見られます。
[症状]
排便時に激しい痛みと出血があります。排便後もしばらく痛みが続くことも。
[進行すると・・・]
裂肛を繰り返すと、裂け目が深くなって炎症が起き、潰瘍やポリープができて、肛門が狭くなる(肛門狭窄)ことがあります。
痔瘻(あな痔)
[状態]
歯状線にあるくぼみに大腸菌などが感染すると、炎症が起こり、化膿して膿がたまります。この段階は、まだ肛門周囲膿瘍。この症状が繰り返されることによって、細菌の入り口と膿が皮膚を破って流れ出る部分まで 、1本のトンネルのように貫通します。これが痔瘻です。
[原因]
下痢やストレスによる免疫力の低下など。肛門括約筋の強い男性にやや多い傾向があります。
[症状]
肛門の周囲の皮膚が腫れて痛みを伴い、ときには熱が出ることも。痔瘻まで進むと、膿が出て下着が汚れます。痔瘻の治療は手術になります。